ICTの活用
8月 8th, 2009 yamasoken日本の中小企業のIT化が遅れていると言われていますが、ホームページに関しては、山口県内でも開設する企業が増えています。
山口県内の企業がホームページを開設し始めたのが今から14年前の1994年頃でした。
主に会社概要(会社の所在地や取り扱い商品やサービス)を掲載するホームページが大半で、取り敢えずホームページを持ってみようという感覚での開設でした。
きらら博が開催された2001年には、ホームページを利用して商品販売を行う事業者が急増します。また、大学生の就職活動がインターネットの利用に移り始め、大学生向けの求人情報を公開するためにホームページを所有する企業も増えました。山口県内の企業がホームページを所有する増加率は、この頃が一番ピークでした。ところが2004年になると、ITの勝ち組負け組だと世間を賑わすようになり、ホームページでの取組みが失敗した事業者から発せられる「ホームページを持っても意味が無い」という風評が拡がり、山口県でも中小企業のホームページに対する投資が激減しました。
しかし2006年後半から、ホームページに投資する企業や開設を検討する企業が増え始めます。この要因としては、ホームページで売上げを伸ばす企業が身近に出てきたことや、安価で便利なITツール(Web通販システムやホームページ自動作成システム)が普及し始めた事にあります。
ホームページを開設する企業の最近の動向としては、事業者自身がホームページで何を行うかを研究し、目的を明確にしていることがあげられます。取り敢えずホームページを持つという感覚から、IT戦略、Web戦略、インターネット・マーケティングという認識でとらえ、経営に組み込むスタイルに変わってきたことにあります。
ある製造小売店では、インターネット・マーケティングでの取組みに成功し、ホームページでの販売が順調に伸び、店舗での販売を縮小し、インターネットや電話からの予約注文で販売していくスタイルに変わりました。ホームページを持つ事でのIT化によって、経営の根幹まで変わるという経営革新が起きた事例です。
逆に、インターネット・マーケティングが上手く行き、ホームページからの注文が殺到したものの自社の体制が整っていなかったばかりに、ホームページでの販売をやめなければいけなくなった事業者もあります。ホームページでの売上げを考えるだけでなく、商品の受注体制、製造体制、出荷体制も考えておく必要があります。
10年前にホームページを開設したままの状態の事業者、5年前にホームページでの通信販売に取組んだけれども、成果が出ずに辞めた事業者もあるかと思います。最近では、ITもICT(Information and Communication Technology)と言い替えられ、知識やデータといった情報を適切に他者(社員や顧客、ビジネスパートナー等)に伝達する為の技術という概念に変わりました。事業者の皆様、最近のIT動向を踏まえ、事業経営へのIT化もといICT化について再度考えてみられてはいかがでしょうか。
執筆: 山口商工会議所中小企業支援センター窓口専門家 中村伸一 山口商工会議所月報 2008年6月号