ブランドについて
事業者が商号(会社やお店の名前)を商標登録するケースが増えてきました。 この背景には、平成18年5月1日に新会社法が施行され、類似商号規制が廃止されたこにより、自社の商号を他人に使われたくないということがあります。 創業支援を行う中でも、創業者の商号に対する熱い思いがあり、創業準備段階で商号の商標登録申請を行い、コーポレートブランド(製品やサービスのブランドではなく、企業名そのものに対するブランドのこと。)として積極的な営業展開を考えるケースも見受けます。 創業時にコーポレートブランドに取り組んだ方とそうでない方を比べると、事業に対する意気込みが全然違う事を創業支援の中で感じます。コーポレートブランドを構築したいという意識が、事業計画の中でも明確にあらわれ、創業者の事業に対する本気度が伝わってきますし、マーケティング計画にも具体的な内容が盛り込まれます。 また、経営者から、「自社をもっと発展させたい、社員の仕事に対する意識を向上させたい」という声をお聞きします。 会社名をブランド化する、自社商品をブランド化するという行動意識を社員全員が持てば、会社全体の意識改革ができるのではないだろうかと、ブランド化に関心をよせる経営者もいるようです。ただ、ブランドとして商標登録をするだけでは、経営を長期的なビジョンでみた場合に、物足りなさがあります。 このブランド化をきっかけとして、会社全体の経営を見直す事が大切です。事業者が行う経営の見直しを経営革新として、商工会議所でも取り組んでいますが、事業者が経営革新に取り組むには、何かきっかけが必要になるではないでしょうか。 ブランド化に向けたポジティブな経営革新こそが将来の自社の強さを生み出すものだと思います。 それでは、ブランドについて説明しましょう。 ブランドは、お客様に自社商品とその他の商品を差別化させて商品を識別させる印と、考えてください。ブランド化に取り組むメリットとしては、 1.購買単価があがる 2.生活者の購買への抵抗感が下がる 3.安定した売上が期待できる 4.プロモーションコストが軽減される。 5.競合に対して優位に立てる。 ことがあります。 また、ブランド化に取り組むにあたって考えないといけない事に、短期間では、ブランド作りは難しく、中長期での取り組みが必要になること。プロモーション活動においては、ビジネスベースでの協力者の確保が必要でもあり、先ほどの中長期の取り組みにかかる時間もコストと換算すれば、ブランド化に向けた投資コストが発生することを考えなければいけません。 ブランド化への取り組みを企業におけるブランド戦略(ブランディング)と呼ばれています。 執筆: 山口商工会議所中小企業支援センター窓口専門家 中村伸一 山口商工会議所月報 2008年8月号