起業支援3.0が始まる。
起業のスタイルも経済環境や時代によって変化があるといっていいでしょう。
本来、起業(創業)は、自分で準備して事業をスタートさせればいいのでしょうが、なかなか一人で
準備するのは大変です。また、開業よりも廃業の方が増え始めた事もあり、起業を支援する施策がスタートしました。
調べてみると、起業(創業)塾を施策として管轄している日本商工会議所の創業塾受講者へのアンケート調査が平成13年度から始まっています。対象は、平成11年、12年の受講者だったので、起業(創業)塾がスタートしたのは、平成11年と考えていいでしょう。
私は、平成10年に友人達とITベンチャー企業を創業しました。この1年前に、山口県と山口大学が共同で開校した「ベンチャースクール」を受講して、事業計画を作成し、創業へと進みました。当時は、このような創業に向けてのスクールやセミナーは見かけなかったので、平成10年あたりが、起業(創業)支援が全国的に始まったと考えていいでしょう。
ちょうど、インターネットの活用が活発になり、SOHOと呼ばれる、個人事業・小さな会社の設立が流行ったこともあり、起業(創業)塾や創業セミナーのニーズは加速しました。
そこで、この平成10年からの起業支援を「起業支援1.0」と定義しています。
起業支援1.0では、これまで起業に向けて事業計画を作成したことのない人達に事業計画の作成方法を指導することが基本構造です。
起業支援1.0 (事業計画作成)
1.マーケティングを学ぶ
2.収支計画書の作成を学ぶ
3.会社の設立方法を学ぶ
この3つが起業支援1.0のコアでした。
その後、ITの普及が急速に拡がり経済環境も大幅に変わるとともに、ITベンチャーが次から次へと市場を賑わせるようになりました。
起業時から競争が激しくなるとともに、投資によるベンチャー育成も重なり、ビジネスモデルによっては急成長する起業家も出現しました。
また、勝ち組、負け組と分類されるようになりました。その時代が平成15年。
この年、経済産業省の後援を受け「ドリームゲート」がスタートして、
全国規模での起業支援がスタートしました。私が起業支援を仕事を自治体から委託を受け、起業支援のコンサルティングをスタートしたのも、この年でした。この平成15年からの起業支援を「起業支援2.0」と定義しています。
起業支援2.0(ブランディング)
1.競争を意識した差別化戦略(ポジショニング)
2.セグメント分析によるマーケティング
3.SWOT分析による強みの把握
起業支援1.0に、この3つの要素が組み込まれて戦略的な事業計画書の作成指導と支援を行う事が起業支援2.0と言っていいでしょう。
平成19年には、ドリームゲートを始め、自治体も起業支援の施策が縮小され始めた。リーマンショックなど景気が一気に悪化し、起業支援から雇用支援に移っていく。起業家もベンチャー型から社会貢献型の思考を持つ人が増えてきました。
社会環境、経済環境、そして平成22年からSNSを利用してビジネス活動を行う人が増えてくる中で、起業スタイルも変化・進化するとともに多様化もしてきました。
ここに平成24年からの起業支援を「起業支援3.0」と定義しています。
起業支援3.0(コラボレーション)
1.キャリアを知的資産に変換させる。(見えていない強みを活かす)
2.メディアを活用した広報・PRをする。
3.コラボレーションで創発し合う。
起業支援1.0に、この3つの要素が組み込まれて協働・共感による事業スタイルを事業計画書の作成指導と支援を行う事が起業支援3.0と言っていいでしょう。
注意することは、起業支援2.0が起業支援3.0に移行したというわけではありません。
起業スタイルが多様化しているので、起業支援においては、起業支援2.0と起業支援3.0を理解したうえで対応することが大切でしょう。